慧舟會⑤ 真面目な青年
10数年前の話、御茶ノ水にあった慧舟會東京本部道場内、
入会間もないであろう青年をよく見かけるようになりました。
その方は細身で小柄な青年でした。
それから数ヶ月経っても青年は真面目に道場にやってきます。
情熱をかけた時間だけ成長してゆくのでしょう。
ある日、その青年が道場で汗を流していると、山里先生(キックボクシング99戦2階級王者)が、
君もミットやるから準備しなさい!と、青年に声をかけました。
青年「いや、僕やりません。
体験入門なんで。」
ん?
少し離れた場所にいた私は耳を疑った。
入会前の体験入門なんて一回きりが常識です。
しかし青年は一般会員よりも真面目に頻繁に道場に顔をだしていたのです。
私「君!入会してないの?
体験入門は一回だけだよっ!」
青年は私をひと睨みして、
道場を出ていきました。